「テキサスブロンコをぶっ飛ばせ!!」のご報告(その2)

「テキサスブロンコをぶっ飛ばせ!!」は、ほぼ全公演完売という大盛況のうちに、9月9日千穐楽を迎えました。

畠中さん、カンパニーの皆様、本当にお疲れ様でした!


畠中さんからなんと本物の(?)キツネのお写真が届きましたので、是非フォトメッセージもご覧くださいね!

 

←こちらは3日目公演終演後にキツネのポーズを取っていただいた、人間バージョンです。

 

公演も終わり、キツネのお写真までいただけたので、ネタバレも何も気にせず、簡単ですが今回の舞台の様子をご報告をさせていただきます。


<全体の流れ>

この舞台は、ブロードウェイミュージカル「The Gold Man」の日本プレビュー公演上演中のドタバタを描く、劇中劇です。

「The Gold Man」はテキサスから招聘された演出家ジョンの「プレビューは何があっても途中では止めない。観客もハプニングを楽しんでほしい。」という舞台挨拶とともに始まります。

 

この「The Gold Man」自体がどんな内容かと言うと…なんと「金太郎」がベースなんですねー。 そこに色々なミュージカルのパロディ的要素がちょっとずつ織り込まれています。

オープニングはまるでライオンキング。

歌い踊るキツネ(畠中さん)、タヌキ(縄田さん)、ウサギ(武者さん)、客席通路を通ってカバとサイまで登場。(ただし身体は唐草模様の風呂敷なので、獅子舞に近い状態ですが) 

ヒロインはなぜか白雪姫のようなドレスで動物たちと楽しく合唱します。 

そこに悪いクマ(幸村さん)が現れ、食べ物を横取りし乱暴を働こうとしますが、「ちょっと待ったぁぁ!」と登場するのが「金太郎」=「The Gold Man」なのです!(今拓哉さん)  

 

セットの山が二つに割れて姿を現したその金太郎のビジュアルは…眉の上ぱっつんのおかっぱの鬘、赤い腹掛け、腰みのです。 あの今さんが、です。 

そしてマサカリを担いだままものすごい美声で「私は足柄山のきん・きん・金太郎~」と朗々と歌い上げます。 これはインパクトあり過ぎで、場内爆笑でした。

 

つまりブロードウェイミュージカル「The Gold Man」の設定そのものがバカバカしく笑える仕掛けになっているわけです。

そこに舞台の裏側の色々なオトナの事情(主演俳優のプライド、興行側の思惑、演出家のセクハラ、アンサンブルの痴情のもつれetc )が絡まって、決して止まらないはずだったプレビュー公演が何度も止まってはやり直しとなり、ますます変な方向に進み始めます。 (金太郎役の綾小路はベタすぎる金太郎の衣装がいやだと言って自作のマグマ大使みたいな全身金色のコスチュームに変更したり…)

そんなデタラメな舞台を苦々しく思っているのがキツネ役の「吉田よしお」(畠中さん)です。

こんな作品に大金を払い、海外から演出家を呼ぶお金があるなら、日本の芸術家を育てるべきだろう!とクマ役の田所(幸村さん)に同意を求めます。

二人は以前「日本の演劇を変える!」という理想に燃えて活動をしていた仲間でした。 しかし夢は破れ借金を抱えた劇団は7年前に解散。

7年ぶりの共演を喜ぶキツネ姿の吉田が相変わらず理想を熱く語るのに反し、クマ姿の田所は「夢は夢、現実は現実だ。もうあの頃の俺じゃない!」と切り捨てます。

その後もトラブル続きのまま舞台は進み、ジョンのアメリカナイズされた演出が我慢できなくなった通訳の山際(川本さん)はとんでもないことを始めました。

ジョンがセンターで歌えと言えば 「主役はセンターで歌い上げるんじゃなくてもっと相手の目を見て気持ちを大切に」と訳し、動物はここでは登場しなくていいと言えば「動物たちは金太郎の仲間として存在している、そのままいきましょう」などと、通訳するふりをしながら自分で演出を付け始めたのです。 

芝居は確かに良くなっていくものの、納得できないジョンはますますエキサイトし、ついにお客からもクレームがついてプレビューは完全にストップ。舞台上からプロデューサーが土下座までする事態に発展。 

 

しかし山際はもう後に引けず「日本の演劇は、ミュージカルはこのままではだめになってしまう!」と大演説をぶち始めました。

何でも海外のものをありがたがる日本の演劇界を憂い、このままではいけない、今こそ立ち上がろう!と呼びかけたのです。役者だけではなく観客に対しても。

 

山際は演劇の素晴らしさを訴えるために、以前自分が感動した小劇団の作品を引き合いに出します。

名もない劇団の『月よりもナウ』という作品を見たときに、「明日月には行けなくても、今日一歩を踏み出せば明日は必ず変わる。その一歩は月面着陸よりもすごいことなんだ」(←正確には憶えてません。ニュアンスです)…そのセリフで自分がどれだけ感動し勇気づけられたか、と。 

それを聞いたキツネとクマはなぜか動揺します。

しかし当然ながらそんな山際の演説には関係なく、プロデューサーはプレビュー中止と明日の初日の延期を決断し、山際には解雇を言い渡します。 

 

立ちすくむ山際を残し、一人、また一人と舞台から立ち去る役者たち…

 

しかしここでついにキツネとクマが立ち上がるのです。 

「このままでは終われない。俺たちの本気を見せてやる!」と。 

そして山際の演説に心を動かされていた役者をもう一度呼び集め、即興劇「the Gold Manジャポネスクバージョン」の開幕を宣言します。 


自分たちの明日は自分たちで変えていこう…そんな思いを持って立ち上がった役者たちの奮闘は素晴らしく…と言いたいところですが、これがまたドタバタでした。 

「俺はそんな舞台には出ない」と一度は帰りかけたはずの主役金太郎役・綾小路(日本のミュージカル界を背負っている、という設定)は、「自分が舞台をもっと楽しんでいた」若い頃を思い出し、落ち武者姿になってお芝居に乱入します。 

 

これがただでさえまとまりのない即興劇をさらに複雑化し、いったいどうやって収束させるのかと客席もハラハラしちゃう感じでしたが、まあそこまで詳しく書きだすときりがないので割愛します。 

 

実は、通訳の山際が昔感動したという芝居は、クマ田所の作品でキツネ吉田の演出したものでした。 

二人は改めて当時の自分たちを思い出し、自分たちはそのころから何も変わっていない、これからも終わりのない戦いを続けていくんだ!と、最後は無理やりの力技でなんとか即興劇の幕を下ろしました。(ふ~。)

 

即興劇は終わったものの、主催者の意向に逆らって舞台を続行したわけですからその代償は大きく、明日の生活もまたわからなくなってしまいました。 

しかし、舞台に関わる彼らにとっては、日本の演劇界を変えたいという強い思いを示す新たな一歩であり、全員が力を出し切って楽しんだ後の心地よさに包まれて劇場から帰っていきました。 

おしまい。

<雑感>

うーん、ダメです。私ではうまく文章にまとめられませんでした。(^^;

 

畠中さんはあの着ぐるみでほぼ出ずっぱり、しかもキツネですから舞台上の移動でもとにかく無駄に飛び跳ねるんですよ! 痩せてしまうのは当然です。

 

キツネが舞台袖でプレビューの再開を待っている時、「…あっつい」とつぶやくのですが、キツネメイクの上からでもわかる放心した表情とセリフの間が絶妙で、毎回客席から笑いが起きていました。

 

ラストシーンでようやく畠中さんはキツネの扮装から素敵な私服姿に変身!(これは小此木麻里ちゃんのライブの時と同じだったと思います。⇒こちら) 

 

今さんも金太郎⇒マグマ大使⇒落ち武者から一転、ダンディーなスーツ姿を拝見できて目の保養でした!

 

全体を通してとにかく楽しく笑える仕掛けが満載なんですが、随所で畠中さんと幸村さんのガチンコな熱い芝居が(キツネとクマの着ぐるみのまま)展開され、ぐぐっと来ます。 

お二人の「お芝居の熱さ」が同じトーンなんです。 だから「劇団で一緒に理想に燃えた活動をしていた」という設定が生きていると思いました。

 

幸村さんは夢をあきらめた振りをしながらも、秘められた熱が伝わってくるし、なにしろアクションが素晴らしくて見惚れてしまいました。

川本さんの強い思いもビシビシと伝わってきました。 

 

その硬軟のギャップがまた面白くもあり、逆に色々考えさせられたり…。 

今日一歩を踏み出す勇気を持てば未来は必ず変わるんだというメッセージは、どんな立場の人の心にもそれぞれ響くものだと思います。


この舞台でブラックにおちょくられていたのが…ライオンキング、レミゼラブル、ジーザス、エビータ、三銃士、ダンス・オブ・ヴァンパイア、テニスの王子様などなど。 

あまり詳しく書くわけにはいかないので控えますが、ミュージカル好きにとっては「笑うしかない」という感じのシーンやセリフが沢山ありました! 

 

DVD化の予定は一応あるとのことでしたので、楽しみに待ちたいと思います!

 

以上、まとまりのないままですが、ご報告まで。

 

放映スケジュールは↑Disneyチャンネル公式ページでご確認ください。