あらすじ 続き

占い師に店番を頼まれて座っていたジェルマンのところに、古市(畠中洋/足立公和)という男がやって来てパンクした車を修理したいから手を貸してくれと頼む。

ジェルマンは迷ったが、古市がポールに優しくする様子を見て手伝うことを決意。

ところが古市は車にジェルマンを蹴り込むとピストルで脅し、どうしても手を借りたいことがあるからと山谷の宿泊所に連れて行った。

古市は時々激しく咳き込み、肺病だと言う。

古市の商売が殺し屋で、殺しの手伝いをさせられると知り逃げようとするが、こっそりジェルマンを助けにきたみどりが古市に殴打される。 

なぜこんなひどいことをするのか!と憤るジェルマンに、古市は「人をかわいそうなどとは思わない。」と言い放つ。

「なぜ人を信じないのか」この一言に激しく反応した古市。

「信じないんじゃない!信じなくさせられたんだ!!」と過去を語る。

 

空襲で両親と妹を亡くし、唯一残された優しい兄が戦地から送ってくれる詩を読むことで生きる希望を繋いでいたが、その兄が上官の策略で殺人の汚名を着せられ死刑にされたこと…。 兄を殺した人間がのうのうと生きていることが許せず、人の繋がりや愛情などはもう一切信じない!と凄む古市。今は、ようやく調べ上げた兄を陥れた二人の男を殺すことしか考えていない。

そこに迎えの車が来て、まず1人目の仇 川田(松村曜生)の元へ向かう。 

車中でジェルマンは、兄を殺された辛さはわかるが、人を恨んでも憎んでもただの行き詰まりではないのかと言った。そして古市はポールに似ている、と。本当は子供や犬が好きなんだろうと話しかけてくるジェルマンにぶち切れ怒鳴りつける古市。 

やがて車が到着し、古市は着ていたコートを脱ぐとジェルマンに預け、スーツ姿になる。そして川田に白人女性を紹介するという名目で近づき、廃屋に連れ込むと自分の正体を明かした。驚愕し怯える川田は、悪いのは小森という男で、自分はそれに従っただけだと言い訳しながら逃げようとするが、古市は馬乗りになり拳銃を突きつけた。

ジェルマンは「悪いことしないで、古市さんは子供が好きなはず」と必死に止める。その制止を振り切るように引鉄を引いたが…弾が出ない。茫然とする古市。 

ジェルマンが古市のコートを預かった時に弾を抜いたと知り、「俺の今までの辛さがお前にわかるのか!」と、無抵抗のジェルマンに殴る蹴るの暴行を加えながら慟哭する。

そして悄然と去って行こうとする古市に、ジェルマンは「何処に行くのか」とついて行こうとする。 またも怒り狂った古市はジェルマンを締め上げながら、なぜ俺についてこようとするんだ!と聞くとジェルマンは、古市を見捨てないことが自分の決意なんだ、と答える。

再び殴り倒したジェルマンを置いて立ち去ろうとする古市にふらふらになりながらもジェルマンは「古市さんと私は友達。古市さんは一人ぼっちだから、私が必要」と後を追おうとする。 

古市はほとんど恐怖を感じるような表情でジェルマンの額を拳銃で殴りつけ、逃走。 

 

ジェルマンは警察に保護されたが、怪我は自分が工事現場で転んだからだと申告し、迎えに来た兄妹と再会する。

占い師から聞いてジェルマンが殺し屋と一緒だったことを既に知っていた2人は、どうやって逃げられたのか不思議がるが、ジェルマンは答えない。

しかし古市が悪い奴だと知っていたのかという問いには「古市さんは悪くない」としっかり答える。

哲治はそんなジェルマンを見ると、なんとなく納得してしまうのだった。


渋谷まで戻ると、占い師からポールが犬殺しに連れて行かれたと聞かされうろたえるジェルマン。今すぐ野犬収容所まで迎えに行くと言い張るが、その身体では無理だから休んで明日の朝にしようと諭される。

ところが翌日聖が付き添って行ってみると、ポールは夜のうちに処分されていた。「昨夜来てもらえれば間に合ったんですが」と言われ、ポールの亡骸にとりすがって泣くジェルマンをしばらくは慰めることもできない聖。


涙に濡れたまま、ジェルマンは聖に古市の元に行くため東京を離れると告げた。古市の次のターゲットである小森の住所もジェルマンは入手していた。

せめて兄に会って相談してからにしてと頼む聖に、ポールの亡骸を見ながら「早く行かなければならない」と旅立ってゆく。


翌日哲治は、会社を休んでジェルマンを追いかけるつもりだと聖に告げる。ここでジェルマンを見捨てることは自分の中の大切なものを見捨てるような気がする、と。

最初はジェルマンの言動に呆れたり怒ったりしていた聖だが、やはり同じように彼の善良さに何かを見出していたため、一緒に行くと言った。

 

―東北―

小森(畑山智行)を捕まえた古市は、兄が陥れられた証拠を隠してある沼に翌日案内させる約束をさせ、いったん解放する。

そこにジェルマンが「古市さーん」と現れた。 

驚いて逃げようとする古市に、自分もお兄さんと同じように詩を書いたから聞いてほしいと語り始める。


~ここで唄1が 「ミタクオヤシン」を歌う…すべての命は繋がっている、何があっても、どんな時でも君のそばにいるよ、という歌詞 (歌詞はAKIRAさんのサイトに掲載されています)


そのメッセージを聞いている古市の背中は小刻みに震え、泣きそうな表情で振り返るとそのまま倒れる。肺病が悪化してかなり弱っているらしい。

看病されながら、古市は初めてジェルマンに名前を尋ね(それまではずっと「異人さん」と呼んでいた)「ジェル」と呼びかけたが、心を許したからではない。古市は無償の友情と信頼を受け入れることは出来ず、「俺はいつかお前を殺す気がする」と呟いた。

しかし、小森との約束の時間になるとジェルマンの肩を借りてなんとか起き上がり、大きなスコップ(のようなもの)を持ってやってきた小森と3人一緒に沼地に向かう。言葉とは裏腹に、古市はすでにジェルマンの存在と助力を受け入れていたし、またその助力がなければ動けないぐらい消耗もしていた。

道中で何度も咳込みフラフラの古市を見て、小森は何かを企むようにほくそ笑む。 

 

ようやく目的の沼に到着し、古市は小森を拳銃で脅し証拠の品を取ってこいと命令する。小森が「心臓が悪いんだ。こんな冷たい水に入ったら死んでしまう」と泣きながら許してくれと懇願するが古市は聞き入れない。

すると、ジェルマンが自分が代わりに行くと水に入り始める。 

小森が逃げないように拳銃を突きつけつつも、沼に入ったジェルマンを案じて気を取られた古市の隙をねらって、小森が反撃に出た。スコップで古市を殴り倒しそこから二人の大乱闘が始まる。(ここの畠中さんと畠山さんの立ち回りがすごかったです…)

咳き込みふらふらの古市にとどめを刺そうとスコップを振り上げた小森。

そこにジェルマンが飛び出し古市を突き飛ばすと(畠中さん、すごい勢いで吹っ飛んで倒れます)、殴られても殴られても小森の前にゾンビのように立ちふさがる。 

小森は次第に恐怖を感じ、渾身の力でジェルマンを殴りつけ腰が抜けたようにしゃがみこむ。

一方、突き飛ばされて倒れていた古市は、何とか立ち上がって座り込んでいる小森に拳銃を向けたが、どこからともなく「だめー!古市さん、誰も傷つけないで!」とジェルマンの声が響く。

殺すことしか考えずここまで来たはずの古市が、引鉄を引けない。 身体中のエネルギーを振り絞るかのように全身を振るわせ小森に銃口を向けているのに、どうしても引鉄を引くことができない。そして張りつめた糸が切れたように古市はその場に昏倒する。

「撃たないでくれ」と泣きわめいていたはずの小森はすかさず邪悪な笑みを浮かべて立ち上がると、倒れた古市にスコップを振り上げた。ところがすでに殴り殺したと思っていたジェルマンがまたも飛び出してきたことに驚いて、悲鳴を上げて逃げ去った。

ジェルマンは倒れている古市にゆっくり歩み寄ると、まるで彼を守るかのように、折り重なって倒れた。


ジェルマンを探していた哲治と聖は、地元の警察から古市が見つかったと知らせを受けた。激しく争った跡はあるが、ジェルマンの姿はどこにもなく、息を吹き返した古市が不思議なことを言っていた、と。(ここで留置所で放心したように足を投げ出して座っている古市のセリフに切り替わる)


「気絶してしばらくして目を醒ました時、霧の切れ間から青空が見えた。そこを一羽の白鷺が羽を広げて飛んでいく姿が見えた。憶えているのはそれだけだ。」


警官の説明を聞いた聖は、ジェルマンはもう東京に戻ったのではないか、と言うが哲治はとてもそうは思えない表情のまま立っていた。

その時、鳥の大きな羽ばたきが聞こえる。 哲治は思わず「ジェルさん!」と叫ぶ。 


留置所の古市も同じ鳥を見ている。そして「さよなら」とつぶやいた。(暗転)


―横浜―

哲治と聖は、結局ジェルマンが何のために日本に来たのかわからないままだったことがずっとひっかかっていた。

彼が残していったサックを見たら何かわかるのではないか?と一度は二人で手に取ろうとするが、やはりそれは勝手に踏み込んではいけないような気がしてやめてしまった。 



二人が退場し、唄1が「ウレシパモシリ」を歌い上げる。 やがてそれが全員の大合唱となって、舞台上に出演者が集結すると、奈落からジェルマンも登場。

置きっぱなしになっていたサックを聖から受け取る。 (おしまい)

放映スケジュールは↑Disneyチャンネル公式ページでご確認ください。