Utageki『リチャード二世』観劇レポート

 

2025年1月24日~26日

Utageki 『リチャード二世』を千穐楽含め3公演拝見しましたので、まったくの個人の感想になってしまいますが簡単にレポートさせていただきます。

 

まず、何よりも今回の上演台本、演出、主演(しかも2役)の鈴木彰紀さんに敬意を表します!(私はさいたま芸術劇場のシェイクスピアシリーズで何度か若手俳優としての鈴木さんを拝見していましたが、まさかこんなマルチな才能を持った方だったとは!です)

 

<登場人物>

リチャード二世・・・鈴木彰紀

 

ハートフォード公爵ヘンリー・ボリングブルック・・・鈴木彰紀

 

ヨーク公爵エドマンド・ラングリー・・・川口竜也

ランカスター公爵ジョン・オブ・ゴーント/庭師1・・・森田浩平

カーライル司教/庭師2・・・畠中洋

ノーサンバランド伯爵・・・原慎一郎

ヨーク公爵夫人イザベラ・・・飯野めぐみ

王妃イザベル・オヴ・ヴァロワ・・・今安琴奈

サー・ウィリアム・バゴット・・・安倍康律

トマス・モーブレー/ソールズベリー伯爵・・・玖已凪

オーマール公爵(ヨーク公の息子)・・・松井優輝

ハリー・パーシー(ノーサンバランド伯の息子)・・・串田真人

少年リチャード・・・齋藤春佳

Utagekiはミュージカルのように心情を歌詞にして音楽にのせて歌うのではなく、シェイクスピアの「台詞」にメロディをつけて表現していました。 

がっつりお芝居で引き込みつつ、歌うま揃いの出演者の歌声もたっぷり堪能できます。

シェイクスピアの膨大な台詞のスピード感、抑揚、「声」の持つ力を見せつけられる舞台でした。(これだけの作品がたった4公演しか上演されなかったのは本当に残念です)

 

歌と台詞が交互に混ざる緩急のリズムが良い上に、音楽にのることで回りくどい(と言っては身も蓋もないですが)シェイクスピアの台詞がすっと入ってくる効果もありました。

小ホールなので、至近距離で息づく登場人物たちの迫力に圧倒されます。舞台の3面が客席に囲まれた演出も観客の集中力を高めていました。

 

幽閉されたリチャードの最期のシーンから始まる構成とその場に現れた「子供時代のリチャード」の存在がとても効果的で、傲慢な君主として君臨している時もヘンリーに追い詰められて弱腰になる姿にも、10歳で過酷な運命を背負わされた少年リチャードが感じられて哀れになるのです。 

登場人物を12人に絞って上演しているので人間関係がわかりやすかったところもポイントでした。 シェイクスピア劇をあまり見たことがない方でも物語に入りやすいと思いました!

 

畠中さんはカーライル司教と庭師の2役で登場します。 

王の言葉を代弁することが多いカーライル司教は序盤からいかめしいお顔で大活躍!

2幕では、リチャード王に息子ヘンリーを追放され失意のうちに亡くなったランカスター公爵森田さんと、カーライル司教畠中さんがにぎやかに庭師として登場します。

それまで貴族しかいなかった舞台上に突然現れる「下々の人間」でガラッと空気が変わりました。 二人は庭の手入れをしながら、リチャードがヘンリーに追い詰められ失脚したことを面白おかしくおしゃべりしていて、王妃イザベルに叱責されます。

畠中さん、ひょこひょことガニマタでコミカルに舞台からはけていくのですが、しばらくするとまたあのいかめしいカーライル司教で登場!(ここ、正直ちょっと笑いそうになりました)

カーライル司教は、「王権は神によって与えられたものである」という当時の絶対君主に対する思想ガチガチの人なので、最後までリチャード王を支持し、反旗を翻したヘンリーや寝返った貴族たちの違法性を責め続け拘束されました。 この大演説も本当に聞き応え、見応えがありました!

 

千穐楽終演後のご挨拶で、鈴木さんはシェイクスピア37作品を全てUtageki化してこの小ホールで上演していきたいと(つまりあと36作品!)おっしゃっていましたので、壮大なプロジェクトの第一作に出演された畠中さん始め出演者の皆さんがいつかレジェンドになる日が来ると信じて応援したいと思います。

 

(千穐楽を終えた畠中さんからのメッセージは会員専用ページの「畠中さんからのメッセージ」に掲載してありますので是非ご覧ください)

 


 

 

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